- かぼちゃの馬車事件とは
- 「かぼちゃの馬車」の概要
- 被害者のその後・対策
- 事件から学ぶべきこと
目次
かぼちゃの馬車事件とは
2018年当時、かぼちゃの馬車シリーズを販売していた不動産会社の「サブリース事業」が破綻し、物件オーナーへのサブリース賃料(定額の家賃支払い)が未払いとなったことが発端となりました。 そのことにより、物件オーナーは大きな負債の返済不能となるケースが続出したという事件です。
「かぼちゃの馬車」の概要
そもそも「かぼちゃの馬車」とは、某不動産会社が建設・運用していた女性専用のシェアハウスの名前です。
その不動産会社は不動産投資家に「かぼちゃの馬車」を販売し、サブリース契約を行うという形で事業を拡大していきました。
ターゲットとなったのは副収入を得たいサラリーマンや医者、公務員たちといった社会的成功者、高属性者が大部分だったのです。
彼らは「賃料30年保証、利回り8%」というセールストークに惹かれ、不動産会社と連携している「スルガ銀行」から融資を受け、一棟1億円以上という「かぼちゃの馬車」を購入しました。
購入者の中には、本来アパートローンを借りる基準に満たない方も含まれていたようですが、銀行と不動産会社が組んで、書類の改ざんにより融資したケースも多数あります。
その被害者の数は約700人、被害総額は1,000億円を超えていると言われています。
被害者のその後・対策
被害者の多くは社会的成功者で優秀な方々です。
彼らの甚大な被害を受けてしまったときの対応を今後似た被害を受けてしまった場合の参考にしましょう。
彼らの甚大な被害を受けてしまったときの対応を今後似た被害を受けてしまった場合の参考にしましょう。
① 金利交渉
スルガ銀行はかぼちゃの馬車オーナーに3.5%~4.5%とかなり高い金利で融資をしていました。
融資額が大きい分、毎月返済する金額も大きく、家賃収入を得ていても赤字になるなど収支を悪化させる原因となっていました。 しかしスルガ銀行は本来融資する基準(収入面など)を満たしていない不動産投資家にも書類の改ざんなどの不正により融資をしていることが発覚し、銀行側に落ち度があったため、交渉に応じるケースもありました。
スルガ銀行はかぼちゃの馬車オーナーに3.5%~4.5%とかなり高い金利で融資をしていました。
融資額が大きい分、毎月返済する金額も大きく、家賃収入を得ていても赤字になるなど収支を悪化させる原因となっていました。 しかしスルガ銀行は本来融資する基準(収入面など)を満たしていない不動産投資家にも書類の改ざんなどの不正により融資をしていることが発覚し、銀行側に落ち度があったため、交渉に応じるケースもありました。
② 自主管理で収支改善
管理会社による管理から不動産オーナー自身の管理に切り替えることで支出を大幅削減し、収支改善されたケースもあります。 自主管理は手間はかかりますが、時間に余裕があり、少しでも支出を減らしたい方には有効でしょう。
管理会社による管理から不動産オーナー自身の管理に切り替えることで支出を大幅削減し、収支改善されたケースもあります。 自主管理は手間はかかりますが、時間に余裕があり、少しでも支出を減らしたい方には有効でしょう。
③ 労働者向け宿舎への転用
立地の良い場所に手軽に安い賃料で住むことができる女性専用のシェアハウスとして購入していますが、ターゲットを変え、収益を改善したオーナーもいます。
空室を埋めるため、ターゲットを警備員などの日雇い労働者に変更し、就職斡旋をセットにして収益を改善したケースもあります。
④ リノベーションして売却
資金的に余裕のあるオーナーは、各室に水周りを設置するなどのリノベーションをして早期に売却したというケースもあります。
⑤ 弁護士に相談する
018年に被害者の不動産オーナー247名が委任し被害弁護団を発足し、2020年3月に物件を銀行等に引渡すことで不動産購入用に融資を相殺することで合意に至りました。
このように事実上借金の帳消しとなり、不動産オーナーは借金の返済を免れることができたケースもあります。
事件から学ぶべきこと
① 不動産投資について学び、判断する能力を養う
融資が使える、表面利回りが良い、場所が良いなど、誰が見てもわかる状況や情報だけで購入を決断するのではなく、投資本来の目的達成の物件購入になるのか考えましょう。
融資が使える、表面利回りが良い、場所が良いなど、誰が見てもわかる状況や情報だけで購入を決断するのではなく、投資本来の目的達成の物件購入になるのか考えましょう。
例えば「給与所得のプラスアルファにしたい」と考えている方がいるとします。
毎月家賃収入はありますが、ランニングコスト(管理委託費、水光熱費、固定資産税など)と返済などの支出も発生します。
総合的計算に基づいて、手元に毎月いくら残るのかを判断する必要があります。
毎月家賃収入はありますが、ランニングコスト(管理委託費、水光熱費、固定資産税など)と返済などの支出も発生します。
総合的計算に基づいて、手元に毎月いくら残るのかを判断する必要があります。
物件の場所や利用する銀行などにより、永続的な賃貸需要があるのか、返済がいくらになるのかは案件それぞれの個別の問題となります。
不動産投資家になることは事業者になるのと同じです。
このような勉強をしたり、不動産会社にアドバイスをもらってりしながら、慎重に検討することをオススメします。
② 言われたことを鵜呑みにしない
不動産会社は「売れれば手数料収益がある」という側面があるわけです。
オーバートークにより、より魅力的な物件であるかのように営業されることを想定しなくてはなりません。
不動産会社は「売れれば手数料収益がある」という側面があるわけです。
オーバートークにより、より魅力的な物件であるかのように営業されることを想定しなくてはなりません。
それを鵜呑みにしていたら、見落としてしまうリスクが多くなってしまう危険性がありますから、必ず購入者自身によるヒアリング調査、机上計算などが必要になります。
・物件は賃貸需要がある場所にあるのか?
・家賃表に記載されている家賃は相場より高くないか?
・利用できる金融機関の融資条件は?
・毎月いくら手元に残るのか?
・家賃表に記載されている家賃は相場より高くないか?
・利用できる金融機関の融資条件は?
・毎月いくら手元に残るのか?
ヒアリング能力を身に付ける、机上計算をしたうえで、購入に値する物件なのか自身での判断が必要です。
不動産を購入することは大きな借金と引換えになるケースがほとんどですから、安易に購入するのではなく、必ず自分で勉強する、信頼のおける不動産会社を見つけて的確にアドバイスをもらえる環境を作るなどして下さい。
不動産投資は、まさに「資産」の買うことになりますから、物件情報をもらうだけの関係性ではなく、信頼し合える不動産会社を見つけることが失敗しない投資への近道となることでしょう。